大規模木造建築の設計において、木材を劣化させる要因の一つは「水分」であり、設計段階から「木材を濡らさない」「水分を滞留させない」ための対策を講じる必要があります。
本記事では、結露の発生原因から具体的な設計時の対策ポイントまで詳しく解説します。
大規模木造建築において耐久性を向上させるためには、単に材料を選定するだけでは不十分です。構造躯体となる木質構造材に対して、水分や湿分を長期間かつ継続的に作用させないシステムを建築全体に作り込むことが、設計における基本原則といえます。
結露や湿気の影響を受け続ける環境下では、構造部材の腐朽など劣化が進行するリスクが高まります。そのため、設計段階から湿気を滞留させない仕組みを計画し、建物の長期的な安全性と耐久性を担保する配慮が欠かせません。
ここでは、構造躯体や接合部で結露が発生するメカニズムと建物にもたらすリスクについて解説します。
暖かい空気が冷たいものに触れて冷やされ、空気中に含みきれなくなった水分が液体へと変化する現象が「結露」です。とくに断熱性が高められた建築物では、断熱材の両面で大きな温度差が生じやすくなります。
これにより、壁の中などの目に見えない部分で「内部結露」が発生するリスクがあり、構造内部への影響を考慮した慎重な対策が求められます。
結露などによって木材が高含水状態(質量含水率40〜60%程度)となり、その状態が3ヶ月以上などの長期間続くと、木材腐朽菌が繁殖しやすい環境となります。
木材腐朽菌が繁殖して腐朽が進行すると、構造躯体の強度が著しく低下し、結果として建物全体の耐久性や耐震性を大きく損なう原因になりかねません。そのため、湿気を制御する適切なアプローチが必要不可欠です。
構造設計の段階で結露リスクを効果的に抑えるためには、多角的なアプローチが必要です。ここでは有効な構法や対策のポイントを解説します。
結露を防ぐ基本として、構造躯体そのものが冷えることを防ぐ断熱設計が挙げられます。例えば、躯体の外側を断熱材で覆う「外張断熱工法(外断熱)」などを採用することで、壁体内での温度差を小さくし、結露のリスクを構造的に低減させることが可能です。
大規模木造建築の耐久性確保において対策の一つが通気構法です。
外壁材と防水紙の間だけでなく、屋根下地と断熱材の間などにも通気層を設けることで、壁体内や小屋裏から発生した湿気を屋外へと排出します。この通気経路を適切に確保することで、建物内部の結露を効果的に抑制できます。
壁の中への湿気侵入を防ぐためには、室内側に透湿抵抗の高い防湿フィルムなどを設ける対策が有効です。
防湿気密テープ等を用いて隙間なく施工し、高い気密性を確保することが重要です。室内の湿った空気が壁内に漏れ入る「漏気」を防ぎ、防湿層が途切れることなく連続することで、内部結露のリスクを大幅に軽減できます。
通気層の確保に加えて、基礎周りの床下換気や小屋裏に対しても適切な換気措置を講じることが重要です。
また、深い軒の出を設けて雨水の浸入を物理的に防ぐ雨仕舞いや、万が一結露水が生じた場合でも確実に外部へ排出できる水処理対策(ディテール設計)を施しておくことも、木部の水分滞留を防ぐための重要なポイントとなります。
構造躯体を接合する金物類は、熱を伝えやすい熱橋(ヒートブリッジ)となりやすく、外気との温度差によって周辺の木材表面で結露を発生させる要因となります。
この課題に対する有効な対策として、接合金物を木材のスリット内部などに落とし込んで内蔵(隠蔽)する手法が挙げられます。金物を露出させない設計を取り入れることで、温度変化の影響を最小限に抑え、接合部における結露リスクを低減することが可能です。
日本の高温多湿な気候において、大規模木造建築の長寿命化を図るには、木材の特性を踏まえた結露対策(防湿、通気、熱橋対策など)を設計段階から適切に組み込むことが重要です。
耐久性と安全性を両立した木造建築を実現するためには、維持管理に配慮した設計が欠かせません。長期的な品質確保に向け、大規模木造のノウハウを持つパートナーへ相談してみてはいかがでしょうか。
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