店舗では、低層で形状がシンプルな建築物が大半を占めており、工期が短く低コストであることが求められます。そのような背景から、鉄骨造の施工に関する人件費、鋼材の高コストは、大きなマイナス要素です。
木造は、小規模でも中大規模でも、特注材以外は一般流通材を活用し、供給が安定しているため、コスト変動は小さくなります。また、プレカット工場で構造部材を安定した管理体制で量産できるため、品質の高いものを確保できます。さらに、プレカットされた規格部材を現場で組み上げることで、工期の短縮が可能です。
「2DOGS Inc.、有限会社ケミカルデザイン一級建築士事務所、廣瀬隆志建築設計事務所」により設計された「ローソン 館林木戸町店」は、屋根版としてのCLTを、内外共に現しで採用しています。また、照明の取付下地を兼ねた張弦材とCLTを組み合わせることによって、スパン約10mの無柱空間を確保しました。建築構造は軸組工法で、CLTを屋根に利用しています。
「武松幸治+E.P.A 環境変換装置建築研究所」により設計された「西ノ原の家」は、意匠性に優れたヒノキ・スギのハイブリットCLTを使用しています。建築構造はCLTパネル工法で、壁と屋根にCLTを利用しています。用途は、店舗と住宅を兼ねています。
「KFC 堺百舌鳥店」は、意匠設計がSho建築設計事務所・畑正一郎氏によるもので、構造設計は、京都大学生存圏研究所の北守顕久氏によるものです。ワールドチェーン飲食店舗施設で、CLT告示仕様の建築物です。大版パネル施工をメインとし、屋根軸組工法により軽量化と工期短縮を実現しました。建築構造はCLTパネル工法で、壁と屋根にCLTを利用しています。
「Café CLT」は、意匠設計がS内海彩(KUS) 氏によるもので、構造設計は、腰原幹雄氏とkplus(小川美穂)氏によるものです。LVLのささら桁状の梁に、CLTパネルを載せた構造体です。階段裏をカフェ/厨房とし、CLTの屋根をテラス席として利用しています。建築構造は軸組工法で、CLTを屋根に利用しています。
大規模木造建築に対応する構造設計事務所のうち、対応できる工法の種類が豊富な3社をご紹介します。
工法の種類が多いということは、それだけ叶えられる意匠の幅が広いということ。
各事務所の“強み”にも注目して、相談先を探しましょう。
※対応工法例は、公式HPに表記のある工法のみを記載しています。
※選出した3社は2022年2月7日調査時点で「木造建築構造設計」というキーワードでGoogle検索し表示された木造建築に対応する31社の中から、大規模建築に対応する22社を抽出し、その中で公式HPに記載された工法が多い3社を選定しています。