昨今、「持続可能な開発目標(SDGs)」「カーボンニュートラル実現(脱炭素社会)」「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」に対する意識が高まる様相が見える中、公共・民間で建設する建築物の木造化、木質化が、評価されていくことが予想されます。
公共施設を木造にするメリットとして、上記のSDGs、脱炭素社会、ESG投資、低コストや耐震性の他に、耐火建築物や4階建て、混構造に対応可能で、JAS構造材などの材料の品質が安定している、などが挙げられます。
「武松幸治+E.P.A 環境変換装置建築研究所」により設計された「ノルン水上スキー場ゲートハウス」は、仕上げ面に杉の白太を使用し、意匠性に優れたCLTの空間を実現しています。建築構造は、軸組工法でCLTを利用した木造です。壁と天井の一部にCLTを利用し、サイズは、厚さが90mm(3層3プライ)と、150mm(5層5プライ)になっています。
「武松幸治+E.P.A 環境変換装置建築研究所」「(株)KAP(構造設計)」「太陽工業(株)(ETFE設計)」により設計された「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」は、108mのトンネル状の空間を持つパラリンピアのトレーニングセンターで、内部に設置した義足調整室の壁・天井に、ヒノキ・スギのハイブリットCLTを採用しています。建築構造は、ユニットアーチ架構の木造で、間仕切にCLTを利用し、厚さが90mm(3層3プライ)になっています。
「日本ツーバイフォー建築協会6階建て建設委員会・日本システム設計」により設計された「ツーバイフォー工法6階建て実大実験棟HRT(High Rise Two-by-four)-Project6」は、ツーバイフォー木造による6階建て実大実験棟で、各階に異なる床仕様を施工しており、2階床にCLTを使用して、厚さが210mmとなっています。建築構造は、枠組壁工法でCLTを利用した木造です。
「(株)日本システム設計」により設計された「協同組合オホーツクウッドピア CLTセミナーハウス」は、日本で最初のカラマツによるCLT物件であり、建物内側のCLTはすべて現しで使用しています。建築工法にCLTパネル工法を採用し、壁・2階床・天井にCLTを利用し、壁の厚さが150mm(5プライ)、床・天井の厚さが210mmになっています。
大規模木造建築に対応する構造設計事務所のうち、対応できる工法の種類が豊富な3社をご紹介します。
工法の種類が多いということは、それだけ叶えられる意匠の幅が広いということ。
各事務所の“強み”にも注目して、相談先を探しましょう。
※対応工法例は、公式HPに表記のある工法のみを記載しています。
※選出した3社は2022年2月7日調査時点で「木造建築構造設計」というキーワードでGoogle検索し表示された木造建築に対応する31社の中から、大規模建築に対応する22社を抽出し、その中で公式HPに記載された工法が多い3社を選定しています。