大規模木造建築の構造設計お悩み解決サイトWoody Again(ウッディ・アゲイン) » 大規模木造建築の基礎知識 » 大規模木造建築で確認すべき建築基準法とは

大規模木造建築で確認すべき建築基準法とは

近年、脱炭素化や環境配慮の観点から、公共・民間を問わず大規模木造建築が注目を集めています。しかし、木造でありながら高層・大規模な建物を建てるには、建築基準法に基づく防火・耐震・構造計算などの厳しい要件を満たす必要があります。

この記事では、主要工法ごとに法的ポイントと設計・施工上の注意点を解説します。

建築基準法における大規模
木造建築の規制

階数・延床面積の制限

建築基準法では、木造建築の階数や延床面積に制限があります。原則として木造は2階建てまでですが、3階以上や延床面積が一定以上の建物は防火・耐震基準を満たすことが条件です。

都市計画区域や用途地域によっても制限があり、特に非住宅用途の中高層木造建築では安全性確保のための設計審査が必要となります。

耐火構造・準耐火構造の義務

大規模木造建築では、火災リスクに備え耐火構造または準耐火構造の適用が求められます。木材でも耐火被覆や防火材料を用いることで基準を満たせます。たとえばCLTや集成材は耐火性能を持たせることが可能です。

柱や梁の被覆・構造補強により法定時間の耐火性能を確保し、隣接建物や避難経路の安全も考慮した設計が義務付けられます。

耐震性・構造計算の義務

大規模木造建築では、耐震性を確保するため構造計算が必須です。建築士は構造計算書を作成し、地震荷重や風荷重を考慮した設計を行います。SE工法やCLT工法などは、木材の強度や接合方法が構造計算に反映され、特例的に高さ・面積制限の緩和が認められる場合もあります。安全性の確認には行政の審査も必要です。

大規模木造建築で活用される
工法と法的ポイント

SE工法

SE工法は、強固な集成材柱・梁とオリジナル金物を活用し、木造でありながら剛性と耐震性を実現しています。建築基準法上では、3階建て以上や階高・延床面積の大きな木造建築物では「構造計算を要する建築物」に該当するため、SE工法のような構造性能を数値化・検証できる工法は、確認申請や性能評価において有利です。

例えば、工法が構造計算に裏づけられていれば、階数・規模の制限をクリアしつつ設計の自由度を高めることが可能となります。

木造建築におけるSE工法
について詳しく見る

CLT(直交集成板)工法

「CLT(直交集成板)」工法は、繊維方向を異なる層で直交させて接着した木質パネルを屋根・床・壁構造材として用いるもので、高い剛性・耐震性を有します。

日本では、2016年4月にCLT対応の告示が施行され、これによって中高層木造建築への活用が法的に後押しされました。建築基準法上では「3階以上・一定延床面積以上」の木造建築において構造性能・耐火性能を確保できるCLT工法が、規制クリアのための有効な技術選択肢となっています。

CLT工法について
詳しく見る

改良型在来工法・
ウッドファスナー工法

改良型在来工法は、従来の在来木造軸組工法をベースに、プレカット加工・金物補強・高精度な加工機対応などを導入した方式です。設計上では、工法に応じて構造計算(耐震・水平力・偏心など)を行うことが推奨されており、確認申請時には「構造計算書を省略できる四号建築物特例」であっても、安全性確認のため計算実施を推奨しています。

ウッドファスナー工法は、ドリフトピンを斜めに打ち込む金物接合部が特徴の、木材相互の接合剛性・耐力を高めた在来工法の延長上にある工法です。建築基準法上では、接合部の仕様・金物の設計・耐力値が仕様規定や構造計算に適合していることが求められます。特に、接合部がモーメントを受ける場合は木材の割裂・断面欠損等を防ぐ設計上の注意が必要です。

両工法とも、木造建築における工法選択肢として有効である一方、法令(例えば 建築基準法 及び同施行令)が想定する構法の枠内で、「接合部・金物・構造計算」が適切に検証・実施されることが、確認申請・性能評価を通す上でのポイントとなります。

ウッドファスナー工法
について詳しく見る

改良型在来工法について
詳しく見る

設計・施工時の注意点

法的要件を満たす設計のポイント

大規模木造建築では、防火地域や準防火地域における延焼防止が重要です。隣地境界からの距離や外壁・開口部の防火性能を確保することで、木造でも建築基準法上の防火要件を満たせます。

また、3階建て以上や一定規模を超える建築物では構造計算が義務化され、設計時に構造計算書を添付して確認申請を行う必要があります。

施工段階での注意点

大規模木造建築の施工段階では、接合部や使用材料が建築基準法および関連告示の基準に適合していることを確認することが重要です。認定金物や耐火・防火認定材を正しく使用し、設計図書通りに施工する必要があります。

また、ボルトの締付けやパネルの組立精度など施工精度が低下すると、耐震・耐火性能が著しく損なわれるおそれがあります。

まとめ

大規模木造建築は、建築基準法により階数・延床面積・防火・耐震などの厳格な基準が設けられています。木造であっても耐火・準耐火構造や構造計算の実施が義務化され、設計・施工段階で法的要件を満たすことが不可欠です。

SE工法やCLT工法などの新技術により耐震・耐火性能を数値で証明できるため、法令を遵守しつつ大規模で自由度の高い木造建築が可能となっています。