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木造建築がカーボンニュートラル実現に貢献する理由

カーボンニュートラルとは?木造建築が注目される背景

カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出をゼロにする考え方です。日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げており、様々な産業分野で脱炭素への取り組みが求められています。

建築分野では、資材の製造から建物の運用・解体に至るライフサイクル全体で世界のCO2排出量の37%を占め(※2023年度)、少なくないCO2が排出されています。こうした背景から、製造時のエネルギー消費が少なく炭素を固定できる木材を活用した木造建築が、カーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢として注目を集めています。

※参照元:内閣官房/国土交通省・【PDF】建築物のCO2排出について(https://www.env.go.jp/content/000298482.pdf)

木造建築がCO2削減に貢献する具体的な仕組み

具体的な仕組みは、大きく3つの側面から説明できます。

1つ目は、炭素の固定・貯蔵効果です。樹木は成長過程で大気中のCO2を吸収し、木材として加工された後も内部に炭素を固定し続けます。木造建築物は、いわば「都市の中の炭素貯蔵庫」としての役割を担っています。

2つ目は、エンボディドカーボンの削減です。木材は鉄骨やコンクリートと比較して、製造・加工時のCO2排出量が1,700t-CO2(※1 2022年、中高層建築物の木造化による事例)少ないことがLCA(ライフサイクルアセスメント)による評価でも示されています。構造材を木材に置き換えることで、建設段階における環境負荷を低減できます。

3つ目は、森林の循環利用です。「植える→育てる→伐る→使う」のサイクルを回すことで、持続可能な資源活用が実現します。さらに木材はコンクリートの約11倍、鉄の約350倍の断熱性を持つとされ、調湿性もあるため、建物の省エネルギー性能向上への貢献が期待できます(※2)。

※1参照元:国土交通省/林野庁・【PDF】■中高層建築物の木造化による排出削減効果を評価した事例(https://www.mlit.go.jp/common/001898835.pdf)
※2参照元:耐震構法SE構法 大規模木造建築(エヌ・シー・エヌ)(https://www.ncn-se.co.jp/large/wooden_structure/脱炭素・カーボンニュートラルで木造化・木質化)

木造化・木質化を推進する法律と制度

木造建築の普及を後押しする法制度の整備も進んでいます。代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

1つ目が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(木促法)です。従来は公共建築物が主な対象でしたが、法改正により民間建築物にも木材利用の促進対象が拡大されました(※)。

次に、建築物省エネ法です。2021年4月以降、中規模の非住宅建築物にも省エネ基準への適合が義務化され、建物全体のエネルギー効率向上が求められています(※)。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の考え方も広がりを見せています。木造化による構造材の脱炭素と、高断熱・高効率設備による運用時の省エネを両立させることで、建築物のライフサイクル全体でのCO2排出削減を目指す取り組みが加速しています。

※参照元:耐震構法SE構法 大規模木造建築(エヌ・シー・エヌ)(https://www.ncn-se.co.jp/large/wooden_structure/脱炭素・カーボンニュートラルで木造化・木質化)

まとめ

木造建築は、炭素の固定・貯蔵、製造時のCO2排出量の低さ、そして森林の循環利用という3つの側面から、カーボンニュートラルの実現に貢献します。木促法の対象拡大や建築物省エネ法の適合義務化、ZEBの推進といった法制度の後押しもあり、非住宅分野や中高層建築を含めた木造化・木質化の動きは今後さらに広がっていくと考えられます。

自社の建築計画において環境負荷の低減と持続可能な社会への貢献を両立するために、木造建築の導入を検討してみてはいかがでしょうか。