木造建築は、壁や床の内部に空洞が多い構造です。音が振動として伝わりやすく、鉄筋コンクリート造などと比べて遮音性が低い傾向にあります(※1)。
木材の密度は一般的に1g/㎤以下です(※2)。コンクリートや鉄骨と比較すると、木材単体での遮音効果は限定的といえます。
騒音規制法の規制基準では、特に静穏の保全を必要とする第1種区域における昼間の騒音基準を45~50デシベル以下、住居が主な第2種区域では50~60デシベル以下と定めています(※3)。病院や特別養護老人ホームなどの周辺では基準値がより厳しく設定されることもあり、近隣への配慮が強く求められます。
こうした背景から、木造建築では設計段階から防音対策を計画的に取り入れることが重要です。
※1参照元:防音専門ピアリビング(https://www.pialiving.com/blog/trivia/sound-leakage-wooden-houses)
※2参照元:横松建築設計事務所(https://www.yokomatsu.info/blog/2022/07/29/木造建築で防音対策を行うにはどうすべき?/)
※3参照元:総務省/【PDF】第3回騒音規制法の規制基準(https://www.soumu.go.jp/main_content/000716146.pdf)
防音対策を行ううえで、音の伝わり方を理解しておくことが大切です。音は「空気音(空気伝播音)」と「固体音(固体伝播音)」の2種類に分けられます。
空気音は話し声やテレビの音など、空気を介して伝わる音を指します。固体音は足音や物の落下音など、建物の構造体を振動させて伝わる音です。
空気音には「吸音」や「遮音」のアプローチが有効で、固体音には「防振」による対策が求められます。床の衝撃音にも種類があり、重量床衝撃音(ドスンという重い音)と軽量床衝撃音(スプーンの落下音など軽い音)では対策の方向性が異なる点も押さえておきましょう。
木造建築の防音対策は、壁・天井・開口部など部位ごとに適した方法を選ぶことがポイントです。ここでは各部位の代表的な対策を紹介します。
壁や天井の防音では、吸音材(グラスウールなどの素材)と遮音シート、仕上げ材を組み合わせる方法が基本です。木材は単体では遮音効果が十分とはいえません。
壁を二重構造にして間に空気層を設け、その中にグラスウールなどの吸音材を充填することで、高い遮音性能が得られます。防音シート単体での効果は限定的であるため、必ず他の資材と併用しましょう。
天井についても二重天井にして吸音材を入れる方法が有効です。上階からの足音や生活音を軽減するには、天井の防音対策もあわせて検討することをおすすめします。
窓やドアなどの開口部は、壁と比べて音が漏れやすい部位です。既存の窓の内側にさらに窓を設ける「二重窓化」や、気密性の高いサッシと防音タイプの複層ガラス(合わせガラスなど)の組み合わせが代表的な対策として挙げられます。
二重窓ではガラスとガラスの間に大きな空気層が生まれ、音の伝達を軽減します。また、これらの方法は防音性能の向上だけでなく、断熱性の改善による省エネ効果も期待できます。
スプーンの落下などの軽い音には防音マットや防音フローリングが有効ですが、足音などの重い音には、クッション性の高い下敷き用防音マットを重ねる方法や、専用の床下地材(ALCパネルなど)による対策を行うと良いでしょう。
木造建築の防音対策では、「吸音」と「遮音」の両面からアプローチすることが大切です。音の種類を理解したうえで、壁・天井・窓など部位に応じた資材を選びましょう。
単一の対策に頼るのではなく、複数の方法を組み合わせることで防音効果が高まります。防音性能を重視する場合は、設計段階から専門家に相談し、建物全体を見据えた防音計画を立てることをおすすめします。