大規模木造では、柱や梁などの構造部材を仕上げ材で覆わず、木材そのものを見せる「木現し」を取り入れた意匠設計が可能です。木の質感を活かせる一方、構造部材の見せ方や接合部の納まり、防耐火性能などを踏まえて設計する必要があります。
本記事では、大規模木造における木現しの基本と、接合部や防耐火との関係、設計時に確認したいポイントを解説します。
木現しとは、柱や梁などの木材を石こうボードなどの仕上げ材で覆わず、木材そのものを仕上げとして見せる方法です。木材の質感や木目を空間の意匠に取り入れられるため、木造建築の特徴を活かした設計方法の一つです。
大規模木造では、構造部材そのものが空間のデザインに関わることもあります。木現しを採用する場合は、構造上必要な部材をどのように見せるかまで意匠設計の段階で検討することが重要です。
木現しのメリットは、木材を仕上げ材として隠すのではなく、柱や梁そのものを空間の意匠として活かせることです。木材の木目や色合い、部材の大きさなどを設計に取り入れることで、木造ならではの空間表現につながります。
一方で、木材を見せることを前提とすると、接合部の金物や部材の納まりも視界に入りやすくなります。木現しの意匠性を維持するには、構造部材だけでなく接合部まで含めて検討することが必要です。
大規模木造の木現しでは、意匠性だけでなく、建物に求められる構造性能や防耐火性能を満たす必要があります。特に防火規定については、建物の規模や用途、階数などによって求められる性能が異なるため、木現しを採用できるかどうかも個別に確認しなければなりません。
国土交通省では、延べ面積3,000㎡を超える大規模建築物について、一定の条件のもとで構造部材である木材をそのまま見せる「あらわし」による設計が可能となる防火規定の合理化が示されています。さらに、令和7年改定の「木造計画・設計基準」でも、一定の条件では木材をあらわしで使用する構造を検討できる場合があるとされています。
木現しを計画する場合は、柱や梁をどこまで見せるのか、どの方向から見えるのかを設計初期から整理することが大切です。部材断面や梁成によって空間の印象が変わるため、意匠と構造を別々に決めるのではなく、両者をすり合わせながら計画します。
また、構造部材を見せる範囲を先に決めておけば、接合部や設備などの納まりも含めて検討しやすくなります。完成後の見え方を想定し、構造計画と意匠計画を連携させることがポイントです。
木造の接合では、柱や梁を固定するために接合金物を使用する方法があります。金物が木材の表面に露出する場合、木材そのものを見せる木現しでは、接合部の形状や色、配置が意匠に影響することがあります。
そのため、木現しを計画する際は、部材だけでなく接合部をどのように納めるかまで設計段階で確認することが重要です。
木現しを採用する場合でも、建築物に求められる防耐火性能を満たす必要があります。用途や規模、階数などの条件に応じて耐火構造や準耐火構造などが必要となるため、木材を見せられる範囲を法令や構造方法に基づいて検討します。
また、防耐火上の要求を満たす方法は一つではありません。燃えしろを考慮した構造方法や、条件に応じた区画など、計画する建築物に適した方法を構造・防火の両面から確認することが必要です。
木現しの意匠を保つには、接合金物を木材の表面に露出させない納まりを検討する方法があります。金物を木材内部に納める接合方法であれば、柱や梁の表面に金属部材が現れにくくなり、木材そのものを見せる意匠を計画しやすくなります。
ただし、接合方法の選択では意匠性だけでなく、必要な耐力や部材断面、加工方法、施工条件なども確認する必要があります。
木現しでは、柱や梁だけでなく接合部も視界に入るため、金物の露出を抑えることが意匠の検討事項になります。接合部を木材内部に納める方法を採用することで、木材同士がつながって見える納まりを計画しやすくなります。
一方、金物を見せないことだけを優先するのではなく、構造性能や防耐火、施工性を含めて接合方法を決定することが重要です。
拡張樹脂アンカー工法は、木材内部にボルトを納め、内部を拡張して樹脂を充填する接合技術です。接合に使用する金物を木材内部に納めるため、木材表面に金物を露出させず、木材そのものを見せる木現しの意匠に活用できます。
木現しでは、柱や梁だけでなく接合部も視界に入るため、金物の納まりが空間の印象に影響します。接合金物を木材内部に納める方法は、木材の質感や木目を活かした意匠を計画する際の選択肢の一つといえます。
木現しでは、構造部材の大きさや配置がそのまま空間の見え方に影響します。そのため、意匠設計と構造設計を初期段階から連携し、見せたい部材と必要な構造性能を同時に検討することが重要です。
接合部の金物が露出するか、どの程度見えるのかによって、木現しの印象は変わります。構造計画が進んでから納まりを変更すると、部材断面や意匠の調整が必要になる場合もあるため、接合部は設計初期から確認します。
木現しを採用する場合は、用途や規模、階数などから必要な防耐火性能を確認し、木材をあらわしで使用できる構造方法を検討します。法令上の要求や適用条件は建物ごとに異なるため、設計条件を整理したうえで判断することが必要です。
木現しでは、部材の加工精度や接合部の納まりも完成後の見え方に関係します。設計上の形状だけでなく、加工方法や建方の手順まで確認し、意匠どおりに施工できるかを事前に検討することがポイントです。
大規模木造の木現しでは、木材の質感を活かしながら、構造性能や接合部、防耐火性能を満たす設計が必要です。特に接合金物の納まりは、木現しの意匠性に関わるため、設計初期から検討しておきましょう。
木現しを計画する際は、意匠・構造・防耐火・施工を一体で確認し、建物の条件に適した構造方法と接合方法を選択することが重要です。
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