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大規模木造で自由な形状は実現できる?設計のポイントと注意点

大規模木造では、四角形の建物だけでなく、曲線や斜めの部材、多角形など意匠性を重視した形状を計画することも可能です。一方、形状が複雑になるほど、構造計画や接合部、木材加工などを早い段階から検討する必要があります。

本記事では、大規模木造で自由な形状を実現する際の課題と、設計時に確認したいポイントを解説します。

大規模木造でも自由な形状の建築は可能か?

木造でも曲線や斜めの形状に対応できる

木造建築では、部材の加工方法や接合方法を工夫することで、直交した一般的な架構だけでなく、曲線や斜めの形状、複雑な架構に対応する方法があります。例えばアール形状の建物に対して曲面に合わせた材料を使用したり、直線部材を細かくつなぎ合わせたりする加工方法も存在します。

また、3D CADや大断面加工機などを活用し、従来の加工方法だけでは対応しにくい形状を加工する技術もあります。意匠上の形状を木造で実現するには、設計だけでなく、部材の加工方法まで含めた検討が必要です。

※参照元:栃木県「中大規模木造建築物の普及マニュアルⅡ~事例・防耐火・新たな技術~」【PDF】(https://www.pref.tochigi.lg.jp/d57/documents/mokuzou1.pdf)

大規模木造で自由な形状を実現するときの3つの課題

課題1:複雑な形状に合わせた構造計画

自由な形状を採用すると、一般的な矩形の建物に比べて柱や梁の配置を決める際の自由度が上がる一方、構造計画も複雑になります。意匠形状を優先しすぎると、部材断面や接合部、荷重の伝達方法などに調整が必要になる場合があります。

そのため、設計初期から意匠と構造を連携させ、形状だけでなく架構や部材断面まで一体的に検討することがポイントです。

課題2:多方向に接合する接合部の設計

曲線や斜めの架構では、柱と梁を直交させるだけでは対応できないケースがあります。部材の取り付け角度に応じて、接合部の形状や加工方法を検討しなければなりません。

また、接合部は建物の構造性能に関わるため、意匠上の納まりだけで判断することはできません。必要な強度や部材の断面、接合方法を確認したうえで形状を成立させることが求められます。

課題3:特殊な接合部によるコストや製作期間への影響

複雑な形状では、標準的な接合方法だけでは対応できず、製作金物などを使用する場合があります。特注の金物を製作する場合は、接合部の形状に応じた設計や製作が必要となるため、コストや製作期間にも影響します。

一方で、木材の加工によって形状に対応できる工法であれば、特注金物の製作を減らせる可能性があります。形状を決定する際は、構造面だけでなく、接合方法や加工方法まで含めて比較することが重要です。

自由な形状を実現するために重要な接合方法

木材同士をどのように接合するか

木造では、柱や梁などの部材を接合して架構を構成します。接合方法によって、対応できる部材の形状や施工方法、接合部の見え方などが変わるため、自由な形状を計画する場合は建物の形状と接合方法をセットで考えることが必要です。

一般的な接合金物を用いる方法のほか、金物を木材内部に納める工法などもあります。設計する建物の規模や架構、必要な性能に応じて方法を検討します。

形状に応じて接合方向や強度を検討する

部材を斜めに組み合わせたり、複数の方向から部材を接合したりする場合、接合部にかかる力の方向も変化します。そのため、単に形状を合わせるだけでなく、接合部がどのように力を伝えるかまで確認しなければなりません。

自由な形状を採用する場合は、意匠図だけで判断せず、構造計算や接合部の検討を通して、実現可能な架構かどうかを確認することが求められます。

特注金物の有無はコストにも影響する

特殊な形状に対応するために製作金物を使用する場合、その形状に合わせた製作工程が必要になります。設計段階で接合方法を比較しておくことで、必要な金物の種類や製作工程を把握しやすくなります。

自由な形状を目指す場合は、「どのような形にするか」だけでなく「どのように接合して加工するか」まで検討することが、コストや工期を考えるうえでもポイントになります。

自由な形状の大規模木造で活用できる接合技術

拡張樹脂アンカー工法

拡張樹脂アンカー工法は、木材内部にボルトを納め、内部を拡張して樹脂を充填する接合技術です。無垢材や集成材を用いたデザイン建築や大スパン建築に対応する接合部技術として活用されています。

使用する金物は規格品の全ネジボルトで、変則的な形状には木材の加工で対応する仕組みです。

木材を取り付ける角度に応じて加工し、内部にアンカーを設ける方法が採用されているため、矩形の架構だけではなく、部材の角度や形状に合わせた加工に対応しやすい点が特徴です。

参照元:木構造システム「工法の説明」(https://www.mokukouzou.com/method/)

自由な形状を大規模木造で実現するための設計ポイント

意匠設計と構造設計を早期にすり合わせる

自由な形状を木造で実現するには、意匠と構造を別々に検討するのではなく、初期段階から両者をすり合わせることが大切です。形状を決めた後に接合方法や部材断面を調整すると、意匠の変更が必要になる場合もあります。

接合部と部材断面を初期段階で検討する

自由形状では、部材の角度や交点が一般的な架構と異なるため、接合部の納まりも早い段階で確認する必要があります。部材断面や接合部の条件を踏まえて形状を調整することで、後工程での変更を減らしやすくなります。

加工・施工まで考慮して形状を決定する

設計上成立する形状でも、加工や建方が難しければ現場での対応に影響します。木材の加工方法、運搬、建方の手順まで確認し、実際に製作・施工できる形状かどうかを設計段階で検討することがポイントです。

コストを含めて複数の構造案を比較する

自由な形状を実現する方法は一つとは限りません。部材の構成や接合方法、加工方法によって必要な費用や工程が変わるため、形状を優先するだけでなく、構造性能・加工性・施工性・コストを合わせて比較することが重要です。

まとめ

大規模木造でも、曲線や斜めなど自由な形状を実現する方法があります。ただし、形状が複雑になるほど、構造計画や接合部、木材加工、施工方法の検討が必要です。

自由な形状を計画する際は、意匠・構造・加工・施工を初期段階から確認し、形状と接合方法を検討することが重要です。

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