大規模木造建築の計画では、「CLT」と「集成材」のどちらを採用すべきか判断に悩む場面が少なくありません。本記事では、両者の構造的な違いや用途に応じた使い分け、コストを最適化する組み合わせ方について解説します。
CLTと集成材はどちらも木質材料ですが、製造方法や構造上の役割が異なります。まずは両者の基本的な違いを比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | CLT | 集成材 |
|---|---|---|
| 製造方法 | 板材を繊維方向が交互になるよう積層 | 板材を繊維方向をそろえて積層 |
| 主な用途 | 面材 | 軸材 |
| 荷重の支え方 | 面で支える | 柱・梁で支える |
| 構造形式 | 壁式構造 | ラーメン構造等 |
| 得意な空間 | 小部屋が連続する空間 | 広大な無柱空間(大スパン) |
| 向く建物 | ホテル・福祉施設等 | 倉庫・体育館等 |
CLT(直交集成板)は、板の繊維方向を交互に直交させて重ねた面材で、壁・床・屋根などを構成する面材として用いられ、壁式構造などに採用されます。厚みのある面材として建物を一体的に構成しやすく、建物全体の仕様によっては断熱性や遮音性の確保にも配慮しやすい点が特徴です。
集成材(大断面等)は、板の繊維方向をそろえて積層した軸材で、柱や梁など線で建物を支えるラーメン構造などに向いています。大断面の集成材を用いることで、長尺で強度の高い部材を製作しやすく、無柱空間を支える構造体として活用されています。
CLTと集成材は、それぞれ得意とする空間や用途が異なります。建物の用途や必要なスパン(柱の間隔)に応じて、どちらを採用すべきか整理してみましょう。
CLTは面で空間を区切る特性を持つため、ホテルや福祉施設、集合住宅など、小部屋が連続する建物に向いています。断熱性や遮音性など複合的な効果を発揮しやすく、居住空間の快適性が求められる用途で選択肢となります。
柱を必要としない広い空間が求められる物流倉庫や店舗、体育館などでは、集成材によるラーメン構造などが用いられます。柱や梁の配置を工夫することで、空間の自由度を高めやすい点が特徴です。
実務では、CLTか集成材かという二者択一ではなく、両者を適材適所で組み合わせる構造設計が重要になります。ここでは、コストを最適化するための考え方を紹介します。
すべてをCLTや特注の大断面集成材で構成すると、コストが高騰しやすくなります。荷重の少ない部分には一般流通材を、大空間には大断面集成材を、壁にはCLTを、といった組み合わせ(VE提案)により、コストと性能の両立を図りやすくなります。ただし、最適な組み合わせは建物の用途やスパン、荷重条件、施工条件などによって異なるため、構造設計者による個別の判断が必要です。
構造材を適材適所で使い分けるには、構造計算の知見だけでなく、材料の調達ルートやプレカット工場との連携など、製造から施工までを見据えた提案ができるかどうかも重要です。実務経験のある構造設計事務所を選ぶことが、プロジェクトを円滑に進める鍵になります。
CLTと集成材にはそれぞれ適した用途があります。重要なのは「どちらを選ぶか」ではなく、建物用途やスパン、荷重条件に応じて適材適所で使い分けることです。判断には構造設計の知見が欠かせないため、CLTと集成材の特性を理解し、調達から施工までを見据えた提案ができる構造設計事務所に相談することが大切です。
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